日本神話(古事記)

[10]オオナムチと因幡の白兎

スサノオの子孫にあたる大国主オオクニヌシには他に4つの名前があるんだ。

大穴牟遅神オオナムチ葦原色許男アシハラシコラ八千矛神ヤチホコ
宇都志国玉神ウツシクニタマの4つだよ。

大国主オオクニヌシこと大穴牟遅神オオナムチには、大勢の異母兄弟がいて、八十神やそがみって呼ばれていたんだけど
末っ子だった大穴牟遅神オオナムチは、体も小さくて八十神やそがみのイジメの対象だったんだ。

八十神やそがみたちは因幡いなば(鳥取県)の八上比売ヤガミヒメを妻にしたくて因幡に向かったんだけど、大穴牟遅神オオナムチは、大きな袋を持たされて下男(雑用係)として連れて行かれたんだ。

気多の崎けたのさき(鳥取市)までいくと、毛皮を剥ぎとられて丸裸になったうさぎが倒れていたよ。

八十神やそがみはうさぎに「海の塩水に浸かって、風によく当たれば治るよ」というアドバイスをしたんだ。
アドバイス通りにしてみると、皮膚はひび割れてしまい、そりゃもう痛くて苦しくてたまらず、うさぎは泣き伏せってしまったんだ。

そこへ大穴牟遅神オオナムチがやってきて「どうして泣いてるの?」と尋ねたよ。

隠岐の島おきのしまから気多の崎けたのさきまで海を渡りたかったうさぎは、サメに「サメと兎どっちが多いか比べよう」と提案し、サメを並ばせ、その上を数えるふりをして海をわたったんだけど、最後に「まんまと騙されたネ!」と言ってしまったがために、一番端にいたサメに捕まり毛皮を剥がされてしまって泣いていたら、八十神にだまされてもっとひどくなったんだって。

日本で初めての医術

大穴牟遅神オオナムチは申し訳ない気持ちになり
「すぐに河口の真水で身体を洗って、近くに生えているガマの穂を撒いて、そこに寝転がれば肌は治る」と教えてあげたよ。

言われたとおりにしたら元通りに戻った白いうさぎは、因幡の白兎で「兎神」だったんだ。

因幡の白兎は、大穴牟遅神オオナムチに「あの神たちは絶対に八上比売ヤガミヒメと結婚できないよ!袋を背負ったあなたが八上比売ヤガミヒメのハートを射止めるはず!」と言ったんだ。