日本神話(古事記)

[26]初国知らしし御真木天皇(ミマキノスメラミコト)

この時代、大毘古命オオビコノミコトを高志道(コシノミチ=越国)に、
大毘古命オオビコノミコトの子供の建沼河別命タケヌナカハワケノミコトを東の国の12の国に派遣して
反抗的な者たちを従わせたんだ。

大毘古命オオビコノミコトが越国に行った時、巻きスカートの少女が
山代の平板に立って歌を歌ったよ。

「天皇を殺すつもりの怪しいものが
裏の戸から行き違い、表の戸から行き違い狙われているのも知らないで…」

こんな歌を歌うので少女に尋ねるけど
少女は何も言ってない、歌っただけといいどこかへ消えてしまったんだ。

大毘古命オオビコノミコトは引き返し崇神天皇に歌のことを伝えたよ。

すると崇神天皇は、山代国にいる大毘古命オオビコノミコトの義兄である建波邇安王タケハニヤスノミコ
野心を抱いた兆候だろうから、
日子国夫玖命ヒコクニブクノミコトを副官にして出発するよう伝えたんだ。

大毘古命オオビコノミコト建波邇安王タケハニヤスノミコは和訶羅河(ワカラガワ)を挟んで向かい合い、
戦争が始まったよ。
それでその土地を「伊杼美(イドミ=挑み)」というようになり、現在は今豆美と言うんだ。

日子国夫玖命ヒコクニブクノミコトが射った矢が建波邇安王タケハニヤスノミコに当たり
あっさり死んでしまったよ。

大毘古命オオビコノミコトは祟神天皇の命令通りに、高志国(コシノクニ=越国)へと行き
そこで東へ派遣された息子の建沼河別命タケヌナカハワケノミコトと会って合流したんだ。

これで各地域の平定を終えて、天下は平和になって、人々は豊かになって、栄えたよ。
これをたたえて
「初国知らしい御真木天皇ミマキノスメラミコト」と言ったんだ。

崇神天皇が国を統治した初めての天皇だという宣言だよ。