日本神話(古事記)

[46]嫉妬深い妻と仁徳天皇の恋 つづき

三人目の女 女鳥王メドリノミコ

三人目は、八田若郎女ヤタノワキイラツメの妹、女鳥王メドリノミコだよ。

仁徳天皇は、腹違いの弟の速総別王ハヤフサノワケノミコに仲を取り持ってもらったんだけど
女鳥王メドリノミコは嫉妬深い大后のせいで后になれない姉の八田若郎女ヤタノワキイラツメの一部始終を見ていたので、自分は天皇の妻になる気はないと言って、速総別王ハヤフサノワケノミコの妻になったんだ。

速総別王ハヤフサノワケノミコはそのことを仁徳天皇に報告しなかったので、
女鳥王メドリノミコが機織りをしていると直々に仁徳天皇がやってきたよ。

誰のために機を織っているのかたずねると、速総別王ハヤフサノワケノミコのためだと答えたので
仁徳天皇は二人の仲を知って宮廷に帰ったんだ。

それでも女鳥王メドリノミコ速総別王ハヤフサノワケノミコに仁徳天皇を殺してと頼んだよ。

仁徳天皇はこれを知ってすぐに兵を出し、二人を殺そうとしたんだけど
二人は倉椅山(クラハシヤマ=奈良県桜井市倉橋の南の山)まで逃げたんだ。

倉椅山は険しいけど愛する人と登ると苦にならないと歌ってから、更に逃げて
宇陀(ウダ)の蘇邇(ソニ=奈良県宇陀郡曽爾村)に着いたとき仁徳天皇の軍に追いつかれて殺されてしまったよ。

軍の山部大楯連ヤマベノオオタテノムラジとその妻

その軍の将軍の山部大楯連ヤマベノオオタテノムラジは、殺した女鳥王メドリノミコが手に巻いていた玉釧(タマクシロ)というブレスレットを剥ぎ取って、自分の妻にあげたよ。
これが後に大事件となるんだ(TдT)

それからしばらくして、宮廷で宴会が開かれたとき、各氏族の妻たちもみんな参加するよう呼ばれたよ。

もちろん山部大楯連ヤマベノオオタテノムラジの妻も参加したんだけど、腕にはあの女鳥王メドリノミコの玉釧(タマクシロ)を巻いていたんだ。

大后の石之日売命(イワノヒメノミコト)が妻たちに大酒を注いだ柏の葉を配ってまわっていたとき、女鳥王メドリノミコの玉釧のブレスレットに気づいてすぐさま妻を退席させたよ。

それから山部大楯連ヤマベノオオタテノムラジを呼び出して、ただちに処刑したんだ。

その後仁徳天皇は、300歳超えのご長寿 建内宿禰命タケノウチノスクネノミコトと歌をよみあったり
木で船を作ったり、琴を作ったりして83歳で亡くなったよ。
お墓は大阪府堺市堺区大仙町にある仁徳天皇陵だよ。