日本神話(古事記)

[51]大悪天皇と呼ばれた、大長谷王こと後の雄略天皇

黒日子王クロヒコノミコ 白日子王シロヒコノミコ、幼い弟に殺される

安康天皇の実の弟、大長谷王子オオハツセノミコは当時まだオグナ(少年)だったよ。

安康天皇殺害のことを聞き嘆き怒り、兄の 黒日子王クロヒコノミコの元へと行って
天皇が殺されたどうしよう!と言ったんだけど、兄は驚きもせず態度も曖昧だったので
大長谷王子オオハツセノミコは、こんな一大事に頼りにならい兄を罵り、斬り殺したよ。

もうひとりの兄 白日子王シロヒコノミコのところでも同じように訴えたんだけど
黒日子王クロヒコノミコと同じ態度だったのでこちらも、小治田(オハリダ=奈良県高市郡明日香村の地域)までひっぱっていき、穴を掘って立ったまま埋めたんだ。
白日子王シロヒコノミコは腰まで埋められたときに両方の目が飛び出でて死んでしまったよ。

このむごたらしい殺し方、誰かを思い出さない?
そう、ヤマトタケルのオグナ(少年)時代!
忘れた人はこちらをチェック!

大長谷王子オオハツセノミコは、目弱王マヨワノキミが逃げ込んだ家臣の都夫良意富美ツブラオオミの屋敷を取り囲み戦いとなったんだ。

そこで、自分が約束を言い交わした乙女はこの家の中にいるかと聞いたよ。

都夫良意富美ツブラオオミは、礼儀正しく礼をして、自分の娘である訶良比売(カラヒメ)を大長谷王子オオハツセノミコに仕えさせるよう献上したんだ。
だけど、自分を頼りにしてくれている王子(=目弱王マヨワノキミ)を見捨てることもできないと言い戦いは続いたよ。

それからしばらくして都夫良意富美ツブラオオミの矢が尽きたので、王子にどうするか聞くと
これ以上はどうしようもないので自分を殺せといったんだ。

都夫良意富美ツブラオオミは王子を殺し自分の首を切って死んだよ。

大長谷王オオハツセノミコ 市辺忍歯王イチノベノオシハノミコ

この後のこと、韓帒カラフクロという男が
淡海の久多綿之蚊屋野(クタワタノカヤノ=滋賀県愛知郡秦荘町上蚊野)には猪鹿がたくさんいると教えてくれたよ。

そこで、大長谷王オオハツセノミコは履中天皇の息子である 忍歯王オシハノミコと一緒に淡海に行き、各々で違う仮宮を作って宿にしたんだ。

翌朝、まだ日が出ていない時間帯に、 忍歯王オシハノミコは何の下心もなく
大長谷王オオハツセノミコの仮宮に行って、まだ起きてないなんて!早く狩りに行こう!と矢継ぎ早に言いのこし
馬で出ていったよ。

仕える者たちは、 忍歯王オシハノミコは変なことをいうので気をつけたほうがいいと言い、大長谷王オオハツセノミコに鎧を着るよういったんだ。

大長谷王オオハツセノミコは馬で追いかけて弓で 忍歯王オシハノミコを射殺し、体を刻み土に埋めて平らにならした。何の罪もない 忍歯王オシハノミコはむごい殺され方をしてしまったよ。

安康天皇は 忍歯王オシハノミコに皇位を継承したいと思っていたらしので、それを妬んだ凶行だったみたいだよ。

忍歯王オシハノミコの息子たち

殺された 忍歯王オシハノミコの息子たち 意祁王オケノキミ 袁祁王ヲケノキミ兄弟は
この事件を聞いて恐ろしくなり逃げたよ。

山代の苅羽井(カリハイ)について乾飯(カレイイ:干した飯)を食べていると顔に刺青のある老人が
乾飯を奪ったんだけど、その老人は 山代の猪甘ヤマシロのイカイ(イカイ=動物を飼う部署・猪飼部)だと名乗ったんだ。

兄弟は更に逃げ、玖須婆(クスバ:現在の大阪府枚方市楠葉)の河を渡り、播磨に着き、 志自牟シジムという男の家に入って 馬甘ウマカイ 牛甘ウシカイとして身を隠して働いたよ。