日本神話(古事記)

[19]ニニギの結婚と天皇の寿命

ニニギ、美しい娘に出会う

ニニギは笠沙(かささ)の岬(鹿児島県薩摩半島の西南部)で美しい娘に出会ったんだ。

美しい娘に会ったのでお約束どおり「お前はだれの娘か」と訪ねたよ。
(古事記では、お前どこ中だよ?くらい、父親は誰なのかを確認するよ)

すると、「父は大山津見オオヤマツミの神で、
私の名は木花之佐久夜毘売コノハナサクヤヒメと申します」と答えたんだ。

とても可憐な名前にピッタリの美しい娘だったので、さっそく妻に欲しいとプロポーズしたよ。
これもまたお約束どおり、娘は「お答えは私の口からは申せませんので、父から申し上げましょう」と答えたんだ。
(結婚する相手は自分で選ぶような時代ではなく、父から返事させるのがお約束だったんだよ)

 

ニニギの失礼で、寿命ちぢむ

父である大山津見オオヤマツミの神はアマテラスの孫のニニギからのプロポーズに大喜びして姉の石長比売イワナガヒメも添えて沢山の祝いの品も持たせ送り届けたよ。

ニニギは美しい木花之佐久夜毘売コノハナサクヤヒメに加え姉までいただけるのかと、超興奮!
美人姉妹の到着に胸を踊らせていたんだけど、石長比売イワナガヒメはそれはもうひどくブサイクだったんだ。

ニニギは、石長比売イワナガヒメだけ返して、木花之佐久夜毘売コノハナサクヤヒメと一夜を共にしたんだけど 、それを知った大山津見オオヤマツミの神は激おこだったよ。

それもそのはず、木花之佐久夜毘売コノハナサクヤヒメ石長比売イワナガヒメを一緒に送ったのは
天つ神の寿命が岩のように長いものになるようにと願いをこめていたからなんだ。
木花之佐久夜毘売コノハナサクヤヒメだけでは木に咲く花にように御代が栄えるけれど寿命は短いんだって。

 

そこから、今に至るまで天皇の寿命は長くなくなってしまったよ。

ニニギ、言ってはいけない一言をいう

一夜を共にしただけの木花之佐久夜毘売コノハナサクヤヒメが「できちゃった」と妊娠を相談してきたんだ。

ニニギは「一夜しか共にしてないのに?ほんとに僕(天つ神)の子なの?そこらへんの国つ神の子なんじゃない?」
と、身重の女に絶対言ってはいけない一言を言っちゃうんだ。

木花之佐久夜毘売コノハナサクヤヒメは国つ神の子ならば難産になり、天つ神の子なら安産になるでしょうと言って
産屋に入り戸口を固め、いよいよ生まれるって時には中から火を放ってその中で出産したんだ。
子どもは無事生まれて、ニニギの子供だと証明できたんだ。

火の中で生まれた子なので長男が火照命ホデリのみこと、次男が火須勢理命ホスセリのみこと、三男が火遠理命ホヲリのみことという3人の子を生んだよ。