日本神話(古事記)

[7]天の岩屋戸に隠れるアマテラス

引きこもるアマテラス

スサノオの度を越したいたずらは、一向におさまらず、死者まで出る始末。

これにはアマテラスもさすがにショックを受け、天の岩屋戸あまのいわやどと呼ばれる岩づくりの部屋に隠れてしまったんだ。

これはすっごく大変なことで、太陽神のアマテラスが身を隠してしまったことで、高天原からは光が消えて、地上も真っ暗になってしまったよ。

ずっと闇夜が続いてて、神たちは大慌てだったんだ。
それに、どんどん災いも起きるようになってしまったのさ。
どうなる高天原!

作戦会議

困った神様たちは天の安河原に集まって、作戦会議をしたよ。

知恵の神である思金神オモヒカネ は「天の岩屋戸あまのいわやどに隠れてしまったアマテラスをおびき出す作戦」を考えたんだ。

天の岩屋戸あまのいわやどに隠れてしまったアマテラスをおびき出す作戦」の準備

その1 ニワトリを集めて鳴かせる。

その2 伊斯許理度売命イシコリドメ八咫鏡やたのかがみ という鏡を作らせる。

その3 玉祖命タマオヤにたくさんの勾玉を長く連ねた『八尺瓊勾玉やさかにのまがたま』を作らせる。

その4 布刀玉命フトダマに作戦の勝敗を占わせ、天児屋命アメノコヤネにはサポートさせる。

全ての準備が整い、いよいよ作戦実行だ!

さかきの木に玉飾りと鏡を取付け、白い布と青い布を垂らし、これを布刀玉命フトダマ御幣ごへい としてささげ、天児屋命アメノコヤネ祝詞のりとを唱え始め、天の岩屋戸あまのいわやどの横には力持ちの天手力男神アメノタヂカラオが、隠れるようにしてスタンバイしたよ。

そして本日の主役の踊りの神、天宇受賣命アメノウズメは桶を逆さまに置いた即席ステージをドンドコ踏み鳴らし、ハイテンションで踊り狂ったんだ。

乳もろだしで着物を下まで下げて踊り狂うあまりの凄まじさに、高天原がどっと沸きたって揺れるほどに、神々は大笑いしたよ。
性的な部分の露出には魔を祓う効果があったみたいだよ!

高天原に光が戻る

アマテラスは、自分が隠れたせいで高天原が闇に包まれ、地上も真っ暗になったはずなのに、なぜこんなに騒がしいのか不思議に思ったよ。

閉じた天の岩屋戸あまのいわやどをそっと開けて、「どうして天宇受賣命アメノウズメが踊り狂って、神々はみんな楽しそうに喜んでいるの?」と尋ねたんだ。

するとストリッパー天宇受賣命アメノウズメ
「あなたよりもっとスゴイ神様がいらっしゃるので、皆で喜んで踊ってるんですよ!」
と答えたよ。

さらに天児屋命アメノコヤネ布刀玉命フトダマが鏡をアマテラスに見せたんだ。そこに映る自分を本当に神が来たと思ったアマテラスはその神様のことが気になって気になって仕方なく、天の岩屋戸をもう少し開いて身体を乗り出したんだ。

「いまだ!」

隠れていた力持ちの天手力男神アメノタヂカラオが、アマテラスの腕を掴んで引っ張り出して、布刀玉命フトダマは間髪入れずに、注連縄しめなわ天の岩屋戸あまのいわやどの入口に張って戻れなくしたんだ。
どうにか作戦は大成功で、アマテラスが天の岩屋戸あまのいわやどから出て来きてくれて、高天原も地上も明るくなったよ。よかったね!