［39］１５代　応神天皇

応神天皇は、軽島（カルシマ）の明宮（アキラノミヤ）［所在地：奈良県橿原市大軽町春日神社境内］で天下を治めたよ。

応神天皇が息子の大山守命（オホヤマモリ）と大雀命（オホサザキ）に
年上の子と年下の子とどちらが可愛いかとたずねたんだ。

応神天皇は、一番年下の宇遅能和紀郎子（ウヂノワキイラツコ）に天下を継がせたいという気持ちがあったよ。

大山守命（オホヤマモリ）は「年上の子がかわいい」と答えたんだけど
大雀命（オホサザキ）は天皇の気持ちを察して「年上の子は心配することないが、年下の子はまだ子供なのでかわいい」と答えたんだ。

大雀命（オホサザキ）は自分の考えと同じなので国を治めるよう命じ、大山守命（オホヤマモリ）には山と海を治めるよう命じ、宇遅能和紀郎子（ウヂノワキイラツコ）には皇太子を名乗るように命じたよ。

その昔のある日のこと、応神天皇は近江国（現在の滋賀）へと山を越えて行ったとき
宇治野（現在の宇治）のあたりに立って、葛野（カドノ：現在の太秦あたり）を遠くに見て
葛野を見ると、沢山の家が見える。国のすばらしいところも見えると歌ったんだ。

木幡村（現宇治市内）に応神天皇が到着したとき、美しい娘と会ったので
誰の子かたずねると娘は、丸邇（ワニ）の比布礼能意富美（ヒフレノオホミ）の娘で、名前は宮主（ミヤヌシ）矢河枝比売（ヤカハエヒメ）だと答えたよ。

応神天皇は明日都に帰るので矢河枝比売（ヤカハエヒメ）の家に立ち寄ろうと思うと言ったので
矢河枝比売（ヤカハエヒメ）はそのことを詳しく父親に話したんだ。

父親は、それは天皇に違いないので、しっかりお仕えしなさと言い、部屋をきれいにして待っていたよ。
すると翌日天皇がやってきて歌を歌い、寝床に入ったんだ。
そこで応神天皇と矢河枝比売（ヤカハエヒメ）の間に生まれた子が宇遅能和紀郎子（ウヂノワキイラツコ）だよ。

応神天皇は、日向国（現在の宮崎県）の諸県君（モロガタノキミ）の娘の髪長比売（カミナガヒメ）がとても美しいと聞いて、妻に欲しいと思って呼び寄せたよ。

息子の大雀命（オホサザキ）は髪長比売（カミナガヒメ）が船でやってきて難波津に一泊したときに会い、あまりの美貌に感動して、建内宿禰（タケウチノスクネ）に「応神天皇にお願いして髪長比売（カミナガヒメ）を、私に譲るよう言ってくれ」と言ったんだ。

建内宿禰（タケウチノスクネ）がそれを天皇に願い出ると、すぐに髪長比売（カミナガヒメ）を大雀命（オホサザキ）に譲って結婚式をあげたよ。