崇神の子、伊玖米入日子伊沙知命は
11代垂仁天皇となったよ。
垂仁天皇が沙本毘売命を妻にしたときの話なんだけど
沙本毘売命の兄の沙本毘古王が妹に質問したんだ。
「夫の垂仁天皇と兄の沙本毘古王こと俺、どっちが好きなの?」
きゃー!出ました!近親相姦!?
腹違いならウエルカムだった近親相姦も、さすがに
同じ母から生まれた兄妹は結ばれてはいけないんだ。。。
沙本毘売命が
「兄の沙本毘古王が好きです」
と答えたもんだから、兄の沙本毘古王は、
それが本気なら一緒に天下を治めようと言ったよ。
垂仁天皇が寝ているところを刺し殺すように
沙本毘売命によく切れる小刀を作り渡したんだ。
垂仁天皇はそんなこととは知らず、沙本毘売命の膝枕で眠っていたんだけど
沙本毘売命はそんな天皇の首めがけて、小刀を振り上げたけど
結局ためらってしまって泣いてしまったよ。
垂仁天皇の顔にこぼれた涙で、天皇が目覚めて起き上がって、夢の話をしたんだ。
沙本の方角(現在の奈良県佐保町で沙本毘売命の実家方面)から、
雨が振って私の顔を濡らし、錦色の蛇がわたしの首に巻きついたんだけど
これは何のしるしだろうかね?と言ったよ。
沙本毘売命は本当のことをすべて打ち明けたんだけど。
それをきいた垂仁天皇は
「危うくだまし討ちにあうところだった」
といい、すぐに軍を率いて、沙本毘古王を撃とうとしたんだ。
沙本毘古王は垂仁天皇の軍勢を稲城(いなぎ)を築いて
待ち構えていたんだけど、そこへ、自分のせいで兄が殺されるといたもたってもいられない
サホビメが宮から抜け出して兄のいる稲城に入ってしまったよ。
しかもそのとき、沙本毘売命は妊娠していたんだ。
垂仁天皇は3年も愛し、しかも妊娠している沙本毘売命がいるので、
沙本毘古王の稲城を攻めきれなくて
周囲を囲むばかりで、膠着してしまったよ。
そうしている間に、沙本毘売命のお腹の中の子は生まれたんだ。
沙本毘売命は稲城の外へでて、赤ちゃんを地面において
垂仁天皇に向かって「この子を自分の子と思うなら育ててください」と言ったよ。
垂仁天皇は、兄の沙本毘古王は許せないが沙本毘売命への愛はかわらないので、
子どもはもちろんサボヒメも取り戻したかったんだ。
そこで、力のある兵士を選んで子供を取り戻すときに、髪でも、手でも掴んでいいから沙本毘売命も取り戻せと命じたよ。
沙本毘売命は垂仁天皇の性格をよく知っていたから、髪を剃ってその髪でかつらを作りかぶって、
手に巻いた玉の紐や着物も腐らせて身につけてから子を抱いて出ていったんだ。
兵士はまず子供を受け取ってから、沙本毘売命を捕まえようとしたんだけど
髪をつかめば髪は外れ、手を握れば玉の紐は切れ、着物をつかめば着物が破れ
沙本毘売命を捕まえることができなかったよ。
垂仁天皇は后の沙本毘売命に戻ってきてほしくて
子どもの名は母親がつけるものだろうと言ったんだけど
「火(ホムラ)のついた稲城を焼いているときに生まれましたから
本牟智和気御子と名付けてください」と言っただけだったんだ。
また垂仁天皇は沙本毘売命に戻ってきてほしくて「どうやって育てればいいか」ときいたんだけど
大湯坐・若湯坐を乳母につけて育ててくださいと言われただけだったよ。
垂仁天皇は沙本毘売命にどうしても戻ってきてほしくて
「お前が固く結んだ衣の紐は、誰がほどくの?」と聞いたんだ。
これは、浮気をしないために、お互いに下着の紐を結び合う誓いなんだけど次にその紐をほどくのは沙本毘売命じゃないの?っていう、垂仁天皇の未練が感じられるね。どんだけ沙本毘売命のこと好きなのよ!泣けちゃうじゃない。
でも沙本毘売命は兄を裏切ることができない。
「比古多々須美智宇斯王の娘の兄比売・弟比売は
心が正しいので新しい后にふさわしいですと言ったよ。
沙本毘売命の意思はかたかったんだ。
垂仁天皇はついに沙本毘古王を殺し、妹の沙本毘売命も後を追って死んでしまったよ。