日本神話(古事記)

[47]17代 履中(りちゅう)天皇

大雀命オオサザキノミコトこと仁徳天皇の息子である大江之伊邪本和氣命オオエノイザホワケノミコトこと履中リチュウ天皇は伊波礼若桜宮(イワレノワカザクラノミヤ)奈良県桜井市池之内の稚桜神社にて天下を治めたよ。

墨江中王スミノエノナカツミコの謀反

履中リチュウ天皇が最初、難波宮[ナニワノミヤ:現在の大阪市中央区にあった宮殿]に居たときのこと
収穫祭の宴をしていたときにすごく酔っ払って寝てしまったことがあったんだ。

その時、弟の墨江中王スミノエノナカツミコが兄の履中リチュウ天皇を殺そうとして、宮殿に火をつけたんだけど
阿知直アチノアタイ(帰化氏族)が天皇を連れ出して馬に乗せ助けたよ。

多遲比野(タジヒノ=大阪府羽曳野市)に到着したころで天皇の酔が覚めたので
墨江中王スミノエノナカツミコが宮殿に火をつけたと伝えたんだ。

道中、大阪で出会った少女に道を尋ねると、武器を持った敵がみえるので迂回したほうがいいと助言をくれて
石上神宮(イソノカミジングウ:現在の奈良県天理市の石上神宮)に着いたよ。

水歯別命ミズハワケノミコト曾婆訶理ソバカリ


すると、下の弟の水歯別命ミズハワケノミコト(後の反正天皇)が石上神宮に参上し拝謁を申し出たんだ。

履中リチュウ天皇は謀反をおこした弟の墨江中王スミノエノナカツミコと同じで、水歯別命ミズハワケノミコトのことも信用できないので今は会いたくないと言い、会いたければ墨江中王スミノエノナカツミコを殺してから来いと伝えたよ。

水歯別命ミズハワケノミコトはすぐに墨江中王スミノエノナカツミコに仕えている
曾婆訶理ソバカリに、自分が天皇になってお前を大臣にしてやるから主人である墨江中王スミノエノナカツミコを殺せと命じたんだ。

曾婆訶理ソバカリはそれに従って、自分の王がトイレに入るのを待って、矛で刺して殺したよ。

水歯別命ミズハワケノミコトは、曾婆訶理ソバカリが自分のために手柄をたててくれたけど
主人を殺すのは道義に反すると思い、手柄を報いた上で曾婆訶理ソバカリを殺そうと考え、昇進祝いと称して宴会を開き、大きな盃で酒を飲ませ顔が盃に隠れた瞬間に下に隠しておいた剣で首を斬り殺したんだ。

水歯別命ミズハワケノミコトは、禊(みそぎ)をしてから再度石上神宮(イソノカミカミノミヤ)に参拝して天皇に
平定を成し遂げたと報告したよ。

履中リチュウ天皇は64歳で崩御したよ。お墓は仁徳天皇陵の南にあるよ。